
2026.04.23 卓話: 「アメリカでは外国人、日本でも外国人」辻村菫代様、会長あいさつ、3分間スピーチ
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卓話:「アメリカでは外国人、日本でも外国人」辻村菫代様
私は20代で渡米し、通算29年間にわたってアメリカで暮らしてきました。その間、9回の転勤と14回の引っ越しを経験し、まさに「移動の連続」の人生でした。
異国での生活は波瀾万丈で、交通事故や空き巣、子供のいじめなど、数多くの困難に直面しました。特に痛感したのは「医療」の違いです。アメリカでは、心臓や脳の大きな手術をすれば家が一軒買えるほどの費用がかかります。救急車を呼んでも、手当ての前にまず「支払い能力」を確認するためにクレジットカードの提示を求められるのが現実です。日本のように、誰もが安価で質の高い治療を受けられる医療制度がいかに素晴らしいか、身をもって感じました。
子育ても「ワンオペ」で必死でした。子供たちには、いつ日本に帰っても困らないよう、日本語・英語・音楽・スポーツの「四本立て」で徹底的に教育を行いました。長男は小学校を6回も変わりましたが、家族の絆を支えに、アイデンティティの葛藤を乗り越えて逞しく育ってくれました。
しかし、帰国後に直面したのは、日本の教育現場の「違和感」でした。アメリカ生まれというだけで「どう扱っていいか分からない」と戸惑う先生や、偏見から子供をいじめる周囲の目。私はその都度、相手の子供たちと向き合い、「この子もあなたたちと同じ人間なのよ」と対話を重ねて理解を広めてきました。見た目やバックグラウンドで判断せず、一歩歩み寄って相手を知ることが、多様な人々が共生する第一歩だと信じています。
現在は、岡崎市の「多様性社会推進課」にて、外国籍の未就学児を対象とした日本語教室「ぴかぴか」の運営に携わっています。子供たちが学校生活にスムーズに馴染めるよう、名前の読み書きや挨拶、ルールを教えています。
この度、ロータリークラブ様より学習用の机をご寄贈いただけることになり、心より感謝申し上げます。これからも、誰もが自分らしく、安心して暮らせる地域づくりに尽力していきたいと思います。本日はありがとうございました。
会長あいさつ
新学期が始まり一ヶ月、新しい環境への期待と不安が入り混じる時期ですね。
先日、入学式で新1年生の子が「お母さんが良い」と泣いている姿に困惑した、というお話を聞きました。幼稚園ならまだしも、小学生で…と驚かれるかもしれませんが、これは人間の成長における大切なプロセスを考えさせてくれる出来事です。
人間の育ちには順番があります。赤ちゃんはまず泣くことで不快を訴え、命を守ります。次に、授乳などを通じて母親との間に「基本的信頼感」を育みます。「私を守ってくれる存在がいる」という安心感を得ることで、たとえ姿が見えなくても見守られていると感じる「対象恒常性」が身についていくのです。これはいわば「心のベース基地」です。
このベース基地がしっかりしていれば、人生で思いがけない困難に直面しても、うろたえながらも逃げずに立ち向かっていけるようになります。人生を歩むということは、こうした予期せぬ出来事の連続です。そこから逃げ続けていては、本当の意味で自分の人生を歩んでいるとは言えません。
基本的信頼感の形成は、本来0歳児の発達課題とされています。小学1年生で泣いているお子さんも、これから確かな育ちを遂げていくはずです。そのためにも、周囲の大人たちが人間の根源的な成長を正しく理解し、一人ひとりの心の土台を育む子育てを大切にしてくださることを切に願っています。
3分間スピーチ:都築正道君
本日は、改めて私の仕事を通じた「ロータリーの精神」についてお話しします。
私の仕事は土地の境界を整理することですが、これは少し特殊な側面があります。通常の仕事は依頼者の利益のために動きますが、境界の問題には必ず「お隣さん」が存在します。費用は依頼者が負担しても、打たれた杭は関係者全員のもの。つまり、依頼者のためだけでなく、関わる全員に対して「公平」であることが求められる仕事なのです。
現場では、お隣同士で主張が食い違う場面によく直面します。「塀はここだった」「いや、もっとあっちのはずだ」と、双方がそれぞれの事実を胸に抱えています。ここで単に「正解」を押し付けても解決しません。大切なのは、資料を整理しながら、お互いが「なぜそう思っているのか」を一つずつ確認していくプロセスです。
最近はGPSやドローンで簡単に測れると思われがちですが、技術だけで境界は決まりません。境界とは、人と人とが互いの認識を確認し合い、合意して初めて定まるものです。丁寧にプロセスを重ねることで、少しずつ認識が近づき、双方が納得できる形に落ち着いていきます。
こうした地道な積み重ねがトラブルを防ぎ、地域の安心に繋がると信じています。これこそが、ロータリーで言う「職業奉仕」の本質ではないでしょうか。これからも仕事を通じて、思いやりと公平さを形にしていければと思います。ありがとうございました。